『ドッグフードは犬の食べ物、キャットフードは猫の食べ物』

ドッグフードとキャットフード。

当たり前のことですが、ドッグフードは犬が食べることを前提に作られていて、キャットフードは猫が食べることを前提に作られています。なぜこんな当たり前のことを言うのかといえば、この大前提を無視してペットに食べさせてしまう飼い主さんが、意外なほどに少ないからなんですね。

犬の8割が室内飼育されるようになったこともあり、犬と猫が同居している家庭が増えたことも、要因の一つではないでしょうか。ドッグフードとキャットフードは見た目がそっくりだし、どちらか一種類のほうが犬用、猫用と分けなくていいから便利。

もしもそんな理由で犬にキャットフードを食べさせる、もしくは猫にドッグフードを食べさせているとしたら、いますぐにやめるべきです。なぜなら、犬と猫は必要としている栄養のバランスが違うため、近いうちに体調を崩すことになるからです。

■犬と猫は違う生き物

犬と猫。その食性は似ているようでいて、実はかなり違ってます。犬は肉食獣寄りの雑食動物。対して猫は、ほぼ肉食動物。

つまり、ドッグフードとキャットフードは見た目がそっくりでも、栄養のバランスがまったく違っているんですね。この食性の違いは、味覚の違いにもしっかりと表れています。

人間は甘み、酸味、塩味、苦み、うまみなどを感じることができる、味覚の優れた生き物です。この人間の味覚を100%と仮定した場合、犬の味覚はおよそ15~20%程度。犬は味覚オンチといわれますが、実は甘味などを感じることができるんですね。

これはオオカミだった時代から果実などを食べていたことに由来しています。確かに犬は甘いものが大好きですよね。これに対し、猫の味覚は7~10%程度。ほとんど味覚がないレベルで、感じているのは体に悪いものを判別するための苦味くらいだといわれています。

そしてこれこそが、猫が肉食動物であることの証。

肉食動物は捕らえた獲物の肉や骨、内臓などを生のままで食べるわけですから、味覚はむしろ邪魔になるわけです。猫のような肉食動物にとっての「美味しい」は味ではなくてニオイ。肉などの動物性たんぱく質のニオイが強ければ強いほど、猫は美味しいと感じる生き物なのです。

キャットフードはドッグフードよりにおいが強い

犬と猫の前にドッグフードとキャットフードの両方を同時に出したとします。すると、ほぼ100%の確率で、犬も猫も最初に食べるのはキャットフード。それはなぜかといえば、キャットフードはドッグフードより強いにおいがつけられているからです。

犬は猫に比べると多少味覚は勝っているものの、基本的に犬にとっての「美味しそう」も味ではなくて、におい。だからこそ、犬も猫も強いにおいのついたキャットフードにまずは近寄っていくことになるのです。

犬と猫の両方を飼育しているお家の場合、その多くは犬がキャットフードを食べるようになりがちです。キャットフードとドッグフードの両方がある場面で、猫がドッグフードを食べてしまう、というケースはあまりありません。

猫がドッグフードを食べてしまうとしたら、それはその場にキャットフードがないか、もしくはドッグフードがたまたま猫の興味をひいてしまったときぐらいではないでしょうか。

どのような弊害が考えられるのか

犬も猫も、それから人間にもあてはまることですが、大切なのは栄養のバランスです。どれか一つの栄養素ばかりを摂取するのではなく、五大栄養素でいうならたんぱく質、脂質、炭水化物、ビタミン、ミネラルをバランスよく摂取しなければなりません。

犬は肉食獣寄りの雑食動物であり、猫はほぼ肉食獣。つまり、犬も猫も一番重要な栄養素は動物性たんぱく質である、という部分は共通しています。

しかし、その割合は同じではありません。猫は犬よりさらに多くの動物性たんぱく質を必要としているのです。もちろん、脂質や炭水化物、ビタミン、ミネラルについても犬と猫では必要としている割合は同じではありません。

だからこそ、ドッグフードの栄養は犬にとっての最適なバランスで構成されていて、キャットフードの栄養は猫にとっての最適なバランスで構成されているのです。

それなのに犬がキャットフードを食べ続けたとしたら、動物性たんぱく質や脂質の量が多すぎて、肥満になりやすくなるでしょう。さらには過剰なたんぱく質の代謝によって、腎臓や肝臓を疲弊させることになります。

反対に、猫がドッグフードを食べ続けると、動物性たんぱく質や脂質が不足することになります。さらには猫にとっての必須アミノ酸であるタウリンが絶対的に足りなくなってしまうでしょう。タウリンは猫の視力には欠かせないアミノ酸。それが不足するということは、猫の視力低下や失明につながる原因になるのです。

たまたま口にした程度は問題なし

偶然、犬がキャットフードを食べてしまうことはありますし、その反対に猫がドッグフードを食べてしまうこともあります。

一口二口かじってしまっただとか、気がついたら一皿分食べられてしまった……。この程度であれば、とりたてて心配することはありません。しかし、この取り違いが習慣化してしまった場合は、前項で述べたような体調不良の原因になることを覚悟する必要があります。

最も厄介なのは、犬がキャットフードを好むようになってしまったケース。キャットフードにはにおいを強くするために、粒の外側を強いにおいの成分でコーティングしてあります。そして犬は猫よりも嗅覚の優れた生き物。そんな嗅覚の優れた犬がにおいの強いキャットフードを食べ慣れてしまうと、いざドッグフードに戻そうとしても食べたがりません。

そんな時、飼い主はついつい「食べないよりはマシだから……」という理由でキャットフードを食べさせてしまいがちです。しかし、犬の体調のことを考えたら「食べるよりマシ」を選択して、犬を思い切り空腹にさせなければいけないのです。

本当にお腹がすけば、犬はまたドッグフードを食べるようになるはず。仮に飼い主と犬との根競べになったとしても、飼い主は譲歩するべきではありません。

■食事の管理は飼い主の義務

犬と猫が一緒に暮らす環境において、食事をきちんと管理することは飼い主の義務です。食事が健康と直結している以上、「つい」や「うっかり」で済ませてしまうわけにはいきません。

愛犬や愛猫が体調を崩してから後悔するより、日頃からしっかりと管理するほうが、実は大変なようでいてずっと楽なのです。

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